2月前半 逗子通信




2月1日(木)
このところ、先日Number誌で発表したフォーミュラ・ニッポンに関する原稿について巨大掲示板ではあれやこれやとご意見いただいている。今回は少々こちらに舌足らずでテーマが伝わらなかったことは認めざるをえない。釈明と追加説明でもしようかとBBSで体勢整えて待っていたが誰も来てくれはくれなかったが。

今回最大の失敗は、ワンメイク主義者だったわたしがここ数年で変節してしまったところの説明がしきれなかった点にあるように思う。いくつかの原稿ではその変節と理由を釈明してきたつもりだが、読者は必ずしもわたしが書いた原稿を全部読んでくれているわけではないということを忘れていた。これはあちこちに原稿を書き散らしている書き手が陥りやすい失敗ではある。

正確に言えばわたしはいまだに希望的ワンメイク主義者でありながら、現実的なショーアップを現在の国内トップフォーミュラに施すためには限界を感じるようになった、ということになるけれどもそれをあちこちの媒体で原稿書くたびに説明するわけにもいかないし、そういうことをこのWEBで示しておけばいいのに(というよりもそういう使い方をするためのWEBだったはずなのに)今や日記帳と化している有様。もしここを読んでいて何か言いたい読者がいれば、時間が許す限りBBSで釈明やら議論をする気はあるので遠慮なくどうぞ。

粛々と仕事。夜、某R誌首脳陣、F氏、K氏、N氏来訪。元々は姉が正月用に3万円分買い込んだ鹿児島黒豚のお裾分け分を消化するための「お肉食べてね会」だったが、半分打ち合わせみたいになった。で、おびただしい量の豚肉をしゃぶしゃぶにして食べてもらった。ありがとうございました。

2月2日(金)
仕事。心療内科に電話して診察の予約。と言っても頭の具合はこのところ非常によろしい(だからといって、仕事がどんどん進むわけでもないとは言っておく)。ただ、睡眠障害が出て睡眠導入剤を消費してしまったため、処方してもらおうと思った。

東京まで買い物に出かける女房を駅まで送ってからも仕事。ランニング。女房を迎えに行き夕食。

2月3日(土)
朝、逗子病院へ出向き、超音波エコー検査。肝臓は肝炎の影響で肝臓の縁の角が取れて丸くなってしまっているらしいが(レバ刺を食べると一番ぷるぷるするところがなくなっているということだな。商品価値低下)後遺症ということで、現時点では怪しいものは見つからないとのこと。ただ相変わらず脾臓は肥大している。その他臓器には異常は見つからず。「治って良かったですねえ」と言われる。今さらながら嬉しい。

帰宅後は仕事。なかなかまとめて休めないもんだ。ランニングはしたけど。

2月4日(日)
午前中のうちに原稿はとりあえず書き上げた。午後は休もうかと思った。女房も「休んだら?」と言ってくれた。でも原稿が終わったら、溜まっている事務仕事がある。これを後回しにすればまた悪循環が始まる。というわけで、午後はいつもより集中して事務仕事。頭がぐるぐるになりかかる。

2月5日(月)
朝、睡眠導入剤を処方してもらおうと心療内科へ出かけると待合室が満員。中には結構症状が重そうな方も。世の中には心を病んでいる方が少なくないのだなあ。わたしはほぼ他人事になってしまったが。

天気が良かったのでぶらぶら歩いて郵便局まで出かけ、その後花屋さんで猫の草を購入して帰ってくる。予定が少々狂ってぽっかり時間が空いてしまったので、仕事部屋の整理など。原稿仕事は校正を返したくらい。

2月6日(火)
朝からクルマでTRDへ。編集者S氏と守衛所で合流、取材。その後S氏とともにニスモへ。途中でお昼ご飯。ニスモでS氏と別れ、帰宅。仕事。

2月7日(水)
目覚ましで早起きし、午後の打ち合わせのために急いで資料作り。早めのお昼を食べて逗子駅から上京、イデアへ。西大井駅からのんき通りをぶらぶら散歩しながら行くと、社屋前で武藤英紀に出くわした。今日は武藤の取材。

屋上での撮影に立ち会った後、会議室でインタビュー。おもしろい話が聞けた。編集部であれこれ打ち合わせ&雑談ののち、戸越駅から九段南のJRPへ。地下鉄を乗り間違えて時間がかかった。資料をもとに打ち合わせ。帰宅ラッシュ前に東京駅から帰宅。眠くて眠くてたまらず、電車の中で本が読めなかった。

夕食に大好きなロールキャベツを食べて仕事の続きを少しだけして倒れて寝た。

2月8日(木)
昨年暮れから今年にかけてその動向を楽しませてもらった「きく8号」だが、どうも通信系にトラブルが発生しているようだ。復旧を祈る。

その後の状況を確かめようとJAXAのサイトをチェックしていたら、エアーズロックの衛星写真が掲載されていた。こりゃおもしろいなあ、じゃあグーグルアースで見たらどうかなと思い、グーグルアースの検索でエアーズロックの正式名称(?)ウルルを、まずはカタカナで入力したらどうなるかと試してみた。

グーグルアースをご存じの方はご存じだと思うけれども、地名を入力してジャンプすると、地球儀がグルグル回ってターゲットを探し、そこへズームインして行き衛星画像が表示される。で、カタカナじゃ無理かなあと思いながら「ウルル」で検索してみると、地球儀がサクサクと回り始めるではないか。

「あら?グーグルったらウルルを見つけたよ?」と思って様子を眺めていると、ズームのターゲットは、なんと日本列島に定まり、ずんずんズームインが始まった。「え?ウルルが日本にある?」

仰天しながらズームの先を見守った。すると目的地に到着するわけだ。そこには「ルル30」という地名表示が。「るるさんじゅう??」風邪に効きそうなその語感にも驚いたが、そもそも我が国に「ルル」などという地名があるものかよとWEB検索してみると…。

あるんだなあ、これが。もっとも正式地名は「ル」の一文字。石川県輪島市滝又町ル。滝又町にはル以外にキ、ソ、ツ、ニ、ヘ、ホ、リ、子などという地名があるようだ。「イロハニホヘト」ならまだしも、なぜに「キソツニヘホリル子」?? ニッポンは美しい国ではあるんだろうが、それ以前に奥深い国だなあ。

とかなんとか仕事の合間にチェーン検索をして遊んでいたわけだが、考えてみるとこれはわたしが若い頃に心がけていた読書法そのものだということに気づいた。若い頃わたしは、ある本を読んだらそこで興味を持った事柄についての本を探して読み、その本で次の本のテーマを探すという読書を続けていた。その結果我が家の書棚にはデタラメだけれども幅広いジャンルの書物が並ぶことになった。

そのすべてが頭に入っていればわたしは博物学者になれたかもしれないが、なれなかったところを見ると残念ながら頭には残らなかったらしい。とはいえ、そのいくらかはわたしのいわゆる雑学として脳味噌のどこかには刻まれ、今のわたしを形作っているのだと思う。

今やインターネットと検索システムを組み合わせることによって当時とは比べものにならないほど高効率で「チェーン学習」ができる。WEBで読む知識と書物で読む知識が同じものだとは思わないが、これだけ効率が高ければ知識の幅もはるかに広くなる。学びのかたちは、どんどん変化していくのだろうなあと思う、くしゃみ3回ルル30であった。ちなみにその直後に最新バージョンのグーグルアースをインストールしたところ、ウルルでルル30は表示されなくなってしまったが、地名として滝又町ルルを検索すると、依然としてルル30が登場する。

というわけで夕方までメールをやりとりしながら仕事に関わる情報や素材を収集。写真や原稿をリアルタイムでやりとりできるのは本当に便利だが、結局は自分の首をしめているような気もする。

夕方、電車で横浜へ出向きイデアA編集長と落ち合って飲酒。行こうと思っていたフグ屋は予約で満席、「最初の1杯はサービス」という客引きの声に誘われて西口の居酒屋へ。酔っぱらうとあれこれアイデアや意欲が湧くが、これが現実の仕事になるかというと、そうとは限らないのはわたしが老化したからか?豚バラ天然塩焼きが妙に旨かった。

2月9日(金)
着手しようと思えばすべき仕事もあったんだが、気分が乗らず、デスク周辺の整理と仕事のための資料の整理などを進める。午後は、たまたま知った、クルマで30分ほどのフリークライミングジムへ出かけてみようかと腰が落ち着かなくなるけれども、さすがにもう少しヒマなときに、とあきらめた。今年はきっとフリークライミングに挑戦するんだ。

結局、仕事場にこもったままの1日。ちょっとまとまった仕事について提案をしていたんだが、プロダクションからコンペに負けたという残念なお知らせ。代理店の担当者がわたしを知っているとかで、勝てそうな気がしていたんだがなあ。

2月10日(土)
午前3時半に目が醒めてしまい、眠れなくなる。しかたなくベッドの中でパソコンなどいじって時間を過ごす。明るくなってから寝直し。少しだけ朝寝坊。

午後、女房とバスで逗子駅へ行き、まず鎌倉へ。観光客でにぎわう鎌倉は「源 吉兆庵」で手みやげ用の御菓子を詰め合わせて貰い、壱番屋でおせんべいを買う。店頭で焼きたてを1枚買ってかじったらおいしかった。

昼間の鎌倉にはめったに来ないので、街の表情が暗くなってからとまったく違って見え、おもしろかった。おざわの卵焼きもまだ食べたことはないし、お隣の稲庭うどんも昔から食べてみたいし、インド料理屋も食欲をそそるし。その他名物がいろいろ目につくのだよなあ。近いうち、昼間にもの食べに来よう。

その後湘南新宿ラインで新宿へ出て小田急線に乗り換え、経堂で女房と別れる。女房は千歳船橋から実家へ。わたしは経堂から歩いて業界大先輩のA氏邸宅へ。F1取材仲間のN氏、BSのH氏、T社K氏が集まって夕食会だというので仲間入りした。

もっとも、わたしは6時から隣駅の豪徳寺で中学時代の同窓会会合が先約であり、早めに着いてA氏および奥さんと話し、N氏、H氏、K氏の到着を待って、H氏が持ってきたにごり酒を1杯ごちそうになって、後ろ髪を引かれる思いでおいとました。なめろうが、ものすごくおいしかった。

急いで豪徳寺へ。1時間遅れで会合場所のバー「りらくしん」へ。中学時代の同級生が経営している変わった(失礼)バー。ずいぶん思い切った店構えで、知らなければ戸を開けて店へ入る勇気は出なかっただろうな。

集まった人間たちとあれこれ話す。その間、わたしは店主おすすめのラムを銘柄変えつつ次から次へ飲ませてもらい極楽気分になる。都内の名の通ったバーでもなかなかこれはできないという品揃え。すっかり店が気に入った。またラムを飲みに行く。それにしても50歳になった昔の少女たちに「大串くん」とか「グシ」と呼ばれると、こそばゆい。もっと呼んで。

遅くなったら女房の実家に泊まろうと思っていたが、終電で逗子へ帰り着けそうなので、豪徳寺の駅から女房の実家とは逆方向の新宿行きに乗る。本当にぎりぎりで品川24時04分発の東海道線最終に間に合い、戸塚で逗子行き最終横須賀線に乗り換えて帰り着いた。さすがに土曜日とあって、逗子駅前のタクシーはほとんど待たずに済んだ。小腹がすいたのでカップうどんにビールで寝る。

2月11日(日)
とにかくゆっくり寝た。せっかく逗子まで帰ってきたのだから、仕事をばりばりするか、ゆっくり休むかだと思った。(そこまで自分を追いつめるのもどうかとは思ったが、これが貧乏性というのか、強迫神経症なのか)で、ゆっくりお昼過ぎまで寝たから、強迫神経症ではなさそうだ。

その後仕事。結構サクサク進む。ランニング。お風呂に入って、実家帰りの女房を駅まで迎えに行く。

2月12日(月)
世の中は連休中のようで、静かではあるがこちとら溜まった仕事をコツコツ進めなければ追いつかない。と思っていたら。やはり仕事をしている人も少なくないようでちらほらメールが舞い込み、取材の予定やら打ち合わせの予定やらが新しく決まっていく。心の中で励まし合う。(笑)

天気がよいのでランニングなど。

2月13日(火)
朝一番で歯医者に電話。1週間ほど前から違和感のあった奥歯の詰め物が10日、カッパリ抜け落ちてしまったのだった。電話したら昼過ぎに時間を取るから来いとのこと。

それまではこつこつ仕事。自分の原稿と並行して制作中の仕事をやりとり、最終段階に入ったかな。つうか入らないと行けない。いつもと違う形でプロデュースしているので要領が悪くてすみません。あちこち電話、メール。

女房が会計事務所へ出かけているのでわたしはバスで午後歯医者に。行くとすぐ診察してくれ、抜け落ちたレジンの詰め物をその場で修復してくれた。本を買い、バスで帰るとまだ太陽が高かったのでついでにランニング。シャワーを浴びてその後仕事の続き。

2月14日(水)
朝一番で逗子病院へ行き、定例採血。先日の超音波エコーの結果について。やはり肝臓の形が変わっているという話になって「あのタイミングで治療をして良かったですねえ。これは肝炎の症状としては真ん中を通り過ぎた状態ですからねえ」などと怖ろしいことを言う。

まったくの無症状だっただけに、98年1月に偶然ウイルスが見つかり、03年にインターフェロン治療を決行、それが成功していなかったら、今頃わたしはどうなっていたことか。命拾いとはこのことだ。

で、下まぶたのいぼを切除するプチ整形手術を受けようと、横浜市大病院に紹介状を書いてもらった。これが成功したら次はあそことあそこをいじって……(うそ)

仕事。バレンタインデーにつき、先日M氏よりいただいたモンキーレンチ状チョコレートを昼食のデザートにいただく。ちょうどエッソウルトラフローのフリースなど着ていたものだから、まるでチーム・ルマンのメカニックみたいに見える。


このチョコがまた美味しくて驚いた。

午後は仕事があって、IRLもてぎ発表会には行けなかった。クルマで等々力のトムスへ。本社へお邪魔するのは十何年ぶりか?確かF1プロジェクトの話を聞きに行ったのだった。今の若造には何の話かわからないんだろうなあ。

あれこれ取材して帰宅すると、驚くべき情報が電話でもたらされる。おいおい、日本のレース界はどうなるよ、という話ではあるが、我々の仕事も多くなるということか。

2月15日(木)
朝8時半の電車で上京。恵比寿のスターバックスでAS誌編集長A氏、編集部員T氏と落ち合う。打ち合わせの後、GTA事務局へ行き取材。やっかいな話題で疲れた。

その後A氏と恵比寿駅前でお昼を食べ、イデアへ。イデアであれこれ打ち合わせ。こちらとして関心のあった肝心の部分がまだ決まっておらず、半歩前進状態で帰宅。

今日は女房の誕生日なので、夕食は外へ。葉山に自宅送迎付きの隠れ家風レストランを予約していた。7時前に迎車のエルグランドかなんかが来て、運ばれていく。春一番の強風が強かったが、テラスの向こうには相模湾を挟んで湘南の夜景が一望できる結構なロケーション。スペアリブの煮込みやら有頭海老のクリームソースパスタなどおいしかった。ワイン1.5本、デザートにグラッパ。またエルグランドで自宅まで持ち帰ってもらう。楽ちんでよろしい。帰宅後はウイスキーをなめながら仕事の続き。